====== くさや ======
においが強烈過ぎて、食べられないという人も多い魚の干物の一種、くさやです。
好きな人には病みつきになるにおいのようですが、なかなか一般受けはしづらいため、珍味として知られています。
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くさやは、魚類の干物の一つで、伊豆諸島の特産品として知られている。クサヤモロなどの新鮮な魚を「くさや液」と呼ばれる魚醤に似た独特の匂いや風味をもつ発酵液に浸潤させた後これを天日干しにした食品である。
新島における方言で魚全般を指して「ヨ」と言われており「臭い」+「魚」=「クサヨ」が転じて「クサヤ」になったと言われている。また、新島ではくさやを製造している水産加工業者を指して「イサバヤ」と呼んでいる。
くさやは、新鮮なムロアジ類(クサヤモロなど)、トビウオ類、シイラなどの魚を使用した干物であり、伊豆諸島での生産が盛んである。
味は塩辛いながらもまろやかさがあり、味わいから感じるほど塩分は高くはない。独特の匂いによって好き嫌いが分かれるが、日本人が好きな発酵した魚の香りやうま味から、ご飯のおかず以外に、「島焼酎」と呼ばれる伊豆諸島産の焼酎や、コシの強い(乳酸の多い)日本酒によく合うとされる。
===== 製法 =====
開いた新鮮な魚を、「くさや液」(くさや汁)と呼ばれる浸け汁に8 - 20時間ほど浸け込み、くさや液をよくなじませてから真水で洗浄し、天日に1 - 2日ほど干す。
一般の干物製造と同様に、近年は天日によらず、乾燥機などを使用した強制乾燥も行われている。 出荷に際しては、独特の臭気があるため、大抵は臭いが漏れないような配慮がなされ、真空パックや瓶詰めなどとして出荷される。
なお、類似した外国の食べ物では、塩水やマール、ワインやブランデーなどの液体を定期的に吹き付けて熟成する「ウォッシュチーズ」と作り方が非常に似ており、独特な臭気もくさやに近い。
魚の干物を浸すための塩水を繰り返し使用してきた発酵液は、くさや液の他、しょっちょる(塩汁)とも呼ばれ、茶褐色の粘り気のある液体で魚醤に近い風味をもつ。塩分濃度は10から15パーセントで、4パーセントの例もある。約pH8の弱アルカリ性で、含まれる窒素の大部分は揮発性塩基で占められており、溶出したタンパク質はほぼ完全に分解されていることがわかる。
くさや液にはコリネバクテリウム・クサヤ(クサヤ菌)があり、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの有機酸とエステル類が特徴的な香りを醸し出す。
古いものほど旨味が出るとされ、中には200年も300年も続くものもある。そのため、製造業者はこの液を家宝として、また味の出し方や塩の加減によって味が変わるので、くさや液の製法は各店の秘伝として、代々受け継がれている。くさやの匂いや味は島ごとはもちろんだが店ごとにも差がある。「元祖」だけあって、一般的には新島産の物がもっとも匂いが強いと言われている。また、伊豆諸島の一般家庭でも、代々くさや汁を受け継ぎ、家庭でくさやを作っている家もあり、昔は嫁入り道具の一つとなっていた。
また、ビタミン、アミノ酸などが非常に豊富に含まれていて、抗菌作用もある。そのため、体に良いとされており、かつて医療体制の整備が遅れていた伊豆諸島では、ケガをしたり体調を崩すたびに、薬代わりとしてくさや液を患部に塗布したり、飲ませたりしていたという。
なお、くさや液は、ヒスタミン生成菌が少なく、ヒスタミン分解菌が含まれており、食中毒の原因となるヒスタミンが蓄積しにくいとされる。
一般的には焼いて食べるが、生でも美味しく食べることができる。
産地は東京都の伊豆諸島各島で、特に新島、八丈島、伊豆大島、三宅島などが盛んであるが、現在は、小笠原諸島の父島でも生産している。新島村にはくさやの加工団地があり、その所在地は「東京都新島村本村くさやの里」である。
三宅島におけるくさや製造は2000年の三宅島噴火による全島避難により壊滅した。一部の製造者は近年の帰島後、新島の製造者よりくさや液を提供され、くさや製造を一時再開したが、材料となる魚種が近海で採れなくなったため、現在はくさや液の維持のみを行っている。
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くさやは長い歴史をもつ食品であり、江戸時代には献上品とされていた記録が残っている。
当初は単純な塩水に浸けた魚を干したものであったらしい。塩水を使いまわしながら干物を作っていたところ、それに魚の成分などが蓄積し、さらに微生物などが作用することで現在のくさや液のもととなるものができたとされる。
正確な発祥地は不明だが、伊豆諸島では新島を元祖とする説が有力であり、八丈島のくさや製造業者団体である八丈島水産加工業協同組合は「八丈島のくさや製造は新島からくさや液を分けてもらって始められた」としている。
くさやという言葉は江戸時代の江戸の魚河岸の間で「くさいからクサヤ」という名前がついたという説があるものの、いつの頃から呼ばれるようになったかは不詳である。
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===== 参考 =====
https://shimapochi.tokaikisen.co.jp/kusaya/
くさや自体は強烈なにおいですが、
焼いてうまく他の食材と合わせると、そこまで気にならず、
むしろおいしい料理になる場合もあります。
ちょっぴり変わったくさやカレーなども。