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ホヤ


ホヤ

ちょっとばかり見た目がグロいと言われ、その磯臭さと見た目で少々苦手な人が多い海産物で、 ただその深い味で、熱烈なファンもいる珍味のひとつ、ホヤのご紹介です。

ホヤ(海鞘、老海鼠、保夜)は尾索動物亜門ホヤ綱に属する海産動物の総称。2000種以上が知られる。

餌を含む海水の入り口である入水孔と出口である出水孔を持ち、体は被嚢(ひのう)と呼ばれる組織で覆われている。

成長過程で変態する動物として知られ、幼生はオタマジャクシ様の形態を示し遊泳する。幼生は眼点、平衡器、背側神経、筋肉、脊索などの組織をもつ。

成体は海底の岩などに固着し、植物の一種とさえ誤認されるような外観を持つ。成体は、脊索動物の特徴である内柱や鰓裂をはじめ、心臓、生殖器官、神経節、消化器官などをもつ。脊椎動物に近縁であり、生物学の研究材料として有用。血液(血球中)にバナジウムを高濃度に含む種類がある。現在確認されている中では、体内でセルロースを生成することのできる唯一の動物であり、これは遺伝子の水平伝播を示唆していると考えられている。

生活様式は、群体で生活するものと単体で生活するものがある。単体ホヤは有性生殖を行い、群体ホヤは有性生殖、無性生殖の両方を行う。世界中の海に生息し、生息域は潮下帯から深海まで様々。多くのホヤは植物プランクトンやデトリタスを餌としている。

漢字による表記では、古くには「老海鼠」、「富也」、「保夜」などの表記も見られる。ホヤの名は、「ランプシェードに当たる火屋(ほや)にかたちが似ている」から、または「ヤドリギ(ほや)にそのかたちが似ている」から。またマボヤはその形状から「海のパイナップル」と呼ばれることもある。

なお、俗称でホヤガイ(海鞘貝、ホヤ貝)と呼ばれることがあるが、軟体動物の一群に別けられる貝類とは全く分類が異なっている。

ホヤは日本、韓国、フランスやチリなどで食材として用いられている。海産物らしい香りが強く、ミネラル分が豊富である。マボヤとアカホヤは亜鉛・鉄分・EPA(エイコサペンタエン酸)・カリウムなど豊富な栄養素、味覚の基本要素の全てが一度に味わえる食材となっている。

日本では主にマボヤ科のマボヤ(Halocynthia roretzi)とアカボヤ(H. aurantium)が食用にされている。古くからホヤの食用が広く行われ多く流通するのは主に東北地方北部沿岸の三陸地方。水揚げ量の多い石巻漁港がある宮城県では酒の肴として一般的である。また北海道でも一般的に食用の流通がある。多いのはマボヤであり、アカボヤの食用流通は北海道などであるが少ない。東京圏で食用が広まり多く流通するようになったのは近年である。中部地方以西・西日本各地では、2016年時点においてもなお極少ない。

食用に供される種であるマボヤは、日本では太平洋側は牡鹿半島、日本海側は男鹿半島以北の近海産が知られる。天然物と養殖により供給されている。

特にワタと呼ばれる肝臓や腸には独特の匂いがあり、愛好家はこの匂いを好むこともある。ワタを除去して調理すると独特の匂いがかなり抑えられる。ホヤの中の水(ホヤ水)にもホヤ特有の香りがあり、刺身を作る際はホヤ水を使って身を洗ったり、独特の香りを好むものは、醤油の代わりにホヤ水にワタを溶いたものをつけて食べる。新鮮なホヤはあまり臭わないが、鮮度落ちが早く、時間が経つにつれて金属臭もしくはガソリン臭と形容されるような独特の臭いを強く発するようになる。冷たい海水に浸しておくと鮮度が落ちにくい。首都圏で出回るものは鮮度が悪く全体に独特の匂いが強まっており、好き嫌いが分かれる要因のひとつとなっている。

ホヤを好む人は、五つの味(甘味、塩味、苦味、酸味、うま味)を兼ね備えると形容し、形から「海のパイナップル」に譬えられることもある。独特の風味が酒の肴として好まれ、刺身、酢の物、焼き物、フライとして調理され、塩辛、干物に加工される。また、このわたと共に塩辛にしたものを莫久来(ばくらい)という。


ホヤ.txt · 最終更新: 2020/11/13 01:55 by moepapa

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